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3Dプリンター 使ってみた

3Dプリンターを使ってみた(その6)熱溶解積層法での出力処理について

投稿日:2014年9月15日 更新日:

3dNeko23Dプリンターを使ってみたの6回目です。前回はAutodesk 123D Creatureで作成したモデルからSTLファイルを作成する方法について書きました。今回はやっと実際に3Dプリンターでの出力についてです。前回作成したSTLファイルを加工データとして3Dプリンターで出力するという流れです。ただ実際の3Dプリンターの出力方法は当然機種に依存します。つまりは、各機種のマニュアルを読んでその通りに出力して下さいということになってしまいます。それでは記事になりませんのでここでは私自身が出力したことがあり、個人レベルで購入が可能であろうと考えられる「熱溶解積層法」の3Dプリンターについて以下のような内容で書きたいと思います。

1. 熱溶解積層法とその他の加工方法について
2. 素材について
3. 加工精度について
4. 仕上げの方法について
5. 私が実際に出力した場所

1. 熱溶解積層法とその他の加工方法について
まず、熱溶解積層方式 – FDM法(Fused Deposition Modeling) についてです。この方法は、熱に溶ける樹脂を1層ずつ積み上げていく方式です。この方法の特許が切れたためこの方法を採用している3Dプリンターの低価格化が進み、普及が進んだと思います。

以下が短いですが出力途中の映像です。許可を頂いて録画しました。場所は、西新宿のオフィス24スタジオです。

樹脂を高温で溶かして溶解ヘッドから出力させて階層を積み上げていきます。私の場合はこの方法を説明する場合は、ホイップクリームをケーキの上に飾り付けていく作業を例えに使っています。一つの溶解ヘッドが一つの樹脂を出力することになり、溶解ヘッドが複数ある機種では複数の色を同時に積層することも可能です。

次に、熱溶解積層法以外の加工方法についてです。
まず、私が試してみたいと思っているのがインクジェット方式で石膏粉末を素材にする方法です。この方法ではモデルのデータの色をより細かく再現出来ます。但し、石膏なので出来上がりがもろいという特徴があるようです。例えば、このページ先頭の猫は熱溶解積層法で白色の素材単独で出力しましたが、インクジェット方式で石膏粉末を素材にする方法では、以下のようなカラーがどこまで再現されるか試したいと思っています。(※あまりよく調べていませんが、出力するのに熱溶解積層法と比較すると高価になると思います。DMM.makeではこのフルカラー石膏でも出力依頼が出来るようです。)
nekomaneki

その他、「光学造形方式」をはじめ、いろいろと方法がありますが、よく理解出来ていませんので必要な場合はお手数ですが以下等を参照して下さい。
方式別3Dプリンターの特徴
Japanese makers 3dプリンターの種類

2. 素材について
熱溶解積層法での代表的な素材は、ABS樹脂とPLA樹脂です。それぞれ、以下のような特徴があります。

ABS樹脂
粘着性があり、強度がある。
樹脂自体の熱収縮性があるため変形により加工が失敗する場合がある。
サンドペーパでの加工や塗装が容易である。

PLA樹脂
植物由来の成分で出来ている。
仕上がりは、粘りが少なく強固である。
変成が少なく比較的大きい造形を作る事が可能である。
サンドペーパでの加工や塗装が難しい。
(つまり、ABS樹脂とは逆の特徴がある。)

これらの特徴を理解してどちらを使うかを判断すればいいと思います。

ページ先頭の猫はPLA樹脂で作っています。確かにサンドペーパやストラップのための加工では硬い(強固)と感じました。塗装ものりにくいということなので塗装はしていません。

3. 加工精度について
熱溶解積層法での加工精度についてです。まずは上の項目で書いた素材(樹脂)の特徴を理解して出力したいモデルに合わせて素材を選択するということです。

次に重要な要素が「積層ピッチ」です。この積層ピッチは1回の積層でのピッチ(厚さ)です。つまりこれが細かい程、精度のよい仕上がりになるということです。それでは常に設定可能な細かい設定にすればいいということになりますが、積層ピッチを細かくすればするほど出力時間が長くなります。また数値上の積層ピッチで実際に出力されるかどうかはその3Dプリンター自体の精度によるでしょう。また、素材(樹脂)の特徴による変形も考慮する必要があると思います。

ただ、やはり加工精度の重要な要素として「積層ピッチ」の値があるということを理解しておく必要があると思います。

4. 仕上げの方法について
熱溶解積層法での仕上げを考える場合は、「2. 素材について」で書いたように、ABS樹脂の方がサンドペーパや塗装での仕上げが容易ということになります。それでは実際にどのように仕上げていくかといいますと、アセトンを使った方法があるようです。私は試したことがないので必要な場合はお手数ですが以下等を参照して下さい。
3Dプリントしたものの表面処理をしよう

5. 私が実際に出力した場所
私が実際に出力した場所は、渋谷のFabcafe Tokyoさんと、新宿のoffice24 studioさんです。

いずれもスタッフの方にサポートして頂きながら出力出来ました。時間精算で利用しましたので、あまり出力時間がかからないように、どうしても完成したものは小さいものとなりました。もちろん、自分で3Dプリンターを購入すれば好きなだけ使えるということになります。

今回でこのシリーズは終了です。また3Dプリンター関連についてはいろいろと書いていきたいと思います。

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